あおい法律事務所コラム

民法改正(中間試案)における遺留分減殺請求

平成28年6月21日、法制審議会の民法(相続関係)部会で,「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」が取りまとめられました。

遺留分減殺請求については、「遺留分権利者の権利行使によって、遺贈又は贈与の目的物について当然に共有状態(物権的効果)が生ずることとされている現行の規律を改め、遺留分権利者の権利行使により、原則として金銭債権が発生す ることとする。」という改正案(概要)が示されています。

遺留分減殺請求の効果については、最判昭和 51年8月30日(民集30巻7号768頁)が、「遺贈又は贈与の目的財産が特定物である場合には、減殺請求によって、遺贈又は贈与は遺留分を侵害する限度において失効し、受遺者又は受贈者が取得した権利は、その限度で当然に減殺請求をした遺留分権利者に帰属する」と判示していて、減殺請求を行使すると、共有関係が生じることになり、その共有関係の解消をめぐって新たな紛争を生じ させることになるとの指摘がされています。

そこで、遺留分減殺請求の効果として、必ずしも物権的効果まで認める必要性はなく、遺留分権利者に遺留分侵害額に相当する価値(金銭)を返還させることで足りるという考え方から、上記改正案が提案されました。

なお、遺留分減殺請求については、その他にも改正に関して重要な試案が示されています。

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